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その全館空調、本当に必要?家づくりのプロが明かす「高価なシステムをお勧めしない」3つの衝撃的な理由
「全館空調」——この言葉を聞いて、家のどこにいても一年中快適な温度が保たれる、理想の暮らしを思い描く方は多いのではないでしょうか。住宅メーカーから最新の全館空調システムを提案され、その完璧な快適さに心を惹かれるのも無理はありません。
しかし、家づくりのプロは警鐘を鳴らします。家全体を快適な温度に保つという「全館空調の考え方」そのものは、目指すべき素晴らしい目標です。問題なのは、住宅メーカーが販売する高価で複雑な「全館空調システム」。実はこのシステムには、営業担当者が教えてくれない、住み始めた後に発覚する深刻なリスクが潜んでいるのです。
この記事では、なぜ最新の全館空調システムを強くお勧めしないのか、その理由を徹底解説します。全ての理由は、「住宅には不必要に複雑すぎる機械を持ち込むこと」という共通の落とし穴から生まれています。
📌 1.故障した時が「本当の地獄」。高額な修理費と長い待ち時間
最初の大きなリスクは、システムの故障です。導入費用が高額なことは誰もが知っていますが、本当の問題は、その業務用の特殊なエアコンが数年後に壊れたときに起こります。
想像してみてください。一年で最も暑い(または寒い)時期に、家全体の空調が止まってしまうのです。家庭用の壁掛けエアコンとは違い、全館空調システムの心臓部である業務用エアコンが故障すると、事態は深刻です。
• 修理できる業者が極端に少ない
そもそも業務用エアコンを修理できる技術者が少なく、すぐに見つかりません。
• 修理に時間がかかりすぎる
業者が見つかっても、修理完了までには長い時間がかかります。その間、家族は冷暖房なしの過酷な生活を強いられることになります。
• 修理費用が桁違いに高額
修理には時間だけでなく、驚くほど高額な費用が発生します。
皮肉なことに、修理を待っていられない多くの家庭では、結局、家電量販店でごく普通の壁掛けエアコンを購入してその場をしのぐことになります。高価なシステムを導入した意味が、完全になくなってしまうのです。この「たった一つの故障が家全体の機能を麻痺させる」という事態は、まさに複雑な中央集権システムの典型的なリスクと言えるでしょう。
📌 2.「見えないダクト」が汚染源に?掃除できない配管の恐怖
第二の理由は、見えないダクトの汚染問題です。全館空調システムは、天井裏や壁の中に張り巡らされた無数のダクト(配管)を通して、各部屋に空気を送り届けます。
問題は、このダクト内部にあります。何年も使用するうちに、フィルターを通り抜けた細かなホコリや汚れが少しずつダクト内に蓄積していくのは避けられません。そして最も衝撃的なのは、その汚れたダクトを掃除する手段が、日本ではほとんどないという事実です。
日本の全館空調システムはメンテナンスを前提に設計されていません。シンプルな個別エアコンとは異なり、この広範囲に及ぶ隠れたダクト網は、一度汚れてしまえば清掃する術がないのです。つまり、汚れた配管を通して、カビやホコリを含んだ空気が家中に送り続けられる可能性があるのです。
📌 3.空調を止めると「換気」も止まる、見過ごされがちな健康リスク
そして、最も見過ごされがちで、最も深刻なのがこの健康リスクです。
多くの全館空調システムでは、「空調(冷暖房)」と「換気」の機能が一体化されています。
これが何を意味するのか。もし、空調システムが故障したり、電気代節約のために運転を停止したりすると、家の機械換気まで完全に止まってしまうのです。
換気が止まった高気密住宅では、以下のような健康上のリスクが急激に高まります。
• 室内の二酸化炭素(CO2)濃度の上昇: 眠気や頭痛、集中力の低下を引き起こします。
• ハウスダストやアレルゲンの蓄積: アレルギーの原因となったり、症状を悪化させたりする可能性があります。
これは家族の健康に直結する重大な問題ですが、システムのメリットばかりを強調する営業担当者から、このリスクが十分に説明されることは稀です。
📌 結論:「機械」より「仕組み」で考える。本当の全館空調はシンプルに実現できる
ここまで見てきたように、高価で複雑な「全館空調システム」は、故障、衛生、健康の面で大きなリスクを抱えています。専門家が推奨する本当の解決策は、複雑な機械に頼ることではありません。それは、「買うべきは複雑なテクノロジーではなく、投資すべきは家の根本的な性能」という発想の転換です。
具体的には、断熱性と気密性の高い「家の性能」をしっかりと確保し、シンプルで信頼性の高い壁掛けエアコンを上手に活用するという「仕組み」で考える方法です。
この仕組みは驚くほどシンプルです。
• 冬: 高性能な家では、1階にあるエアコン1台で家全体を暖められます。例えば、リビング階段のような開放的な間取りがあれば、暖かい空気は自然と2階へ上昇し、家全体を効率的に快適な温度に保ちます。
• 夏: 冷たい空気は下に溜まり、屋根からの熱の影響も受けるため、冬と同じ方法ではうまくいきません。2階には別途対策が必要です。しかし、それも各部屋に個別エアコンを設置したり、専門知識のある工務店と相談してホールエアコンや屋根裏エアコンを採用したりと、シンプルで確実な方法で解決できます。これは、一つの故障が家全体の機能を停止させる複雑なシステムより、はるかに賢明な選択です。